この不法投棄事件は不可解である。
いかなる背景があろうが、マニフェストなしに建設廃材を処理した、処理させた、鹿島建設に
産業廃棄物法違反がある。
RIMG0161
このできたてのほやほや、相模原清新町富士住建建物建設予定地からでた廃材にマニフェストはない。
あればそれは偽造である。
鹿島建設羽田沖D滑走路建設廃材不法投棄事件はこの相模原の事件と同じ構造を持つ。
そして行政が沈黙していることも同じである。
双方ともヤクザの介在があり、行政が沈黙する。
清新町の廃材事件の場合、行政は土地測量に関心があるようだ。

さて、国家事業で自ら関与した建設廃材を埋め立てに利用した鹿島建設が何ら処分されないのは何故か。
こういう設問に、鹿島と行政の癒着ということが疑われるという、疑惑という答えは容易に出る。
そういうことはあるでしょう。
しかし、それにしても中途半端な捜査と鹿島側に入り込んだ検察OBとかの振る舞いが何故と
いうことを考えてみる者も少数ではいる。一人はいる。

そういう者に、ある裁判を教えてくれた者がいる。
裁判所に行く機会が多ければその傍聴は容易い。

傍聴し、判決が手に入らなかったので記録を閲覧してみた。
それを筆記謄写したものがいかのものである。

裁判はすべての事実を元に行われるものではない。
判決のなかに記載されたことが絶対の真実でもない。
同時に、この判決には事実も含まれる。

原告は弁護士M、原告代理人はN弁護士著名な法律事務所に所属されていた方である。
被告は住吉会会長とT氏。
M弁護士の法律事務を妨害したことを不法行為として損害賠償を求めている。
この事件で住吉会会長の事件は和解中、
その間、欠席判決が出ていたので、記録と判決を閲覧謄写できた。
住吉会会長の方は和解が成立して事件はなかったことになった。
そこでこの判決だけが確定して残ったというわけである。

判決を読み込むと、高橋真という人物がでてくる。

1 判決。

   平成251月30日判決言渡 同日原本領収

   平成24年(ヮ)第8599号 損害賠償請求事件

   口頭弁論終結日 平成241121

    

              判 決

   横浜市中区不老町一丁目1番地14号 関内エスビル10

                       M法律事務所内

     原告 M

     同訴訟代理人弁護士 中津川彰

   住居所不明

   (最後の住所)東京都港区虎ノ門五丁目313201

     被告 T

             主文

1 被告は、原告に対し、10万円及びこれに対する平成21年四月22日から支払済みまで

5分の割合による金員を支払え。

2 原告のその余の請求を棄却する。

3 訴訟費用は、これを100分し、その99を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

4 この判決は第1項に限り、仮に執行することができる。

             事実及び理由

第1 請求

 被告は、原告に対し、1000万円及びこれに対する平成21422日から支払い済み

まで年5分の割合による金員を支払え。

2 当事者の主張

 1 請求原因

(1)    原告が受任した法律事務の内容

 弁護士である原告は、平成21421日、佐藤信(以下「佐藤」という。)との間で、

原告が佐藤の代理人として次の法律事務(以下「本件法律事務」という。)を行う旨の委任契約を締結した。

 (法律事務の内容)

佐藤の鹿島建設株式会社(以下「鹿島建設」という。)に対する佐藤が鹿島建設から請け負った東京国際空港D滑走路建設工事に関する埋立資材の収集、運搬等の業務に係る経費相当額である8085万円の損害賠償請求及び当該請求に関する交渉

(2)被告による原告の法律事務への介入

ア 原告は、平成21421日、佐藤及び佐藤の業務補助者である高橋真(以下「高橋」という。)とともに、鹿島建設と交渉を行うため、鹿島建設の事務所に赴いたが、その際、原告、佐藤及び高橋のいずれとも面識のない被告が途中から同行した。

イ 鹿島建設の事務所において、原告のみが鹿島建設の担当者と交渉を行うこととなったが、被告は、当該交渉の場に数分の間同席していた。

ウ 上記交渉が終了し、原告、佐藤及び高橋が帰路に就く際、被告は、上記原告ら三名に対し、「先生も入ったことですからこの件は円満におさめてくださいよ。」と延べ、また、佐藤に対し、「住吉会副会長 住吉一家 波木 七代目 大竹新次」と記載した名刺を交付した。

エ 被告は、暴力団波木組の組長であったが、平成2162日、高橋に電話を掛け、鹿島建設からの依頼を受けて佐藤の鹿島建設に対する請求に介入することとなった旨を伝えた。

オ 原告は、上記アからエのとおり、暴力団の組長である被告が本件法律事務に関与したことから、自らの生命・身体に危険が及ぶかもしれない旨畏怖し、そのために、本件法律事務を遂行することを断念した。

(3) 被侵害利益ないし違法性

 上記(2)のとおり、被告は、原告に対し、被告がいわゆる暴力団の組長であることを知らしめるなどの脅迫行為をして原告を畏怖させて、原告をして本件法律行為を遂行することを断念させ、もって原告の弁護士業務を違法に妨害したのであるから、被告の行為は、原告に対する不法行為となる。

(4)被告の故意

被告は佐藤に対し名刺を交付しているが、佐藤が自己の代理人である原告に当該名刺を交付することは当然認識していたというべきであるから、被告の脅迫行為は、故意による者である。

(5)原告に生じた損害

原告が、被告の不法行為によって畏怖し、また、その業務を妨害されたことにより受けた精神的苦痛に対する慰謝料は、1000万円を下回らない。

(6)よって、原告は、被告に対し、不法行為に基づき、1000万円及びこれに対する不法行為の日である平成21422日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による損害賠償金の支払を求める。

2 請求原因に対する認否

被告は、公示送達による適式の呼出しを受けたが、本日口頭弁論期日に出頭しない。

3 当裁判所の判断

1 認定事実

(1)  証拠(甲1の1の1及び甲1の1の2)及び弁論の全趣旨によれば、原告は弁護士であり、被告は、平成214月当時、指定暴力団住吉会の傘下組織である波木組の組長であって、いわゆる稼業名として「大竹新次」の指名(ママ)を使用していたことが認められる。

(2)  証拠(甲1から9[甲1から3につき枝番を含む]、甲14及び甲15)及び弁論の全趣旨によれば、請求原因(第21)の(1)及び(2)アからエの事実を認めることができる。

2 被告の原告に対する不法行為の成否

1)上記1の認定事実によれば、被告は、平成214月当時、指定暴力団住吉会の傘下組織である波木組の組長であったが、原告が佐藤から受任した本件法律事務の遂行として行った鹿島建設との交渉の場に立ち会い、原告らに対し

「先生も入ったことですからこの件は円満におさめてくださいよ。」と述べ、また、交渉終了後に、佐藤に対して被告の上記肩書を記載した名刺を交付したものである。

これらの事実によれば、被告は、佐藤に被告が暴力団の組長であることを殊更に認識させることにより、佐藤のみならず佐藤の代理人である原告に対してもこれを示し、暴力団の組長であることによることを背景に、暗に、原告や佐藤の生命や身体に危害を加えかねないことを示して、佐藤から受任した本件法律事務の遂行を断念するよう要請したものであると認められ、このような被告の行為は、社会通念上許容される限度を逸脱して、違法に原告の弁護士としての業務遂行を妨害しようとしたものであるということができる。

(2)請求原因(2)オの事実について

被告の上記(1)の行為により原告が畏怖したことについては、原告の陳述書(甲14)によれば、交渉の時点では、被告とは面識がなく、被告が暴力団の組長であることを示したこともなかったのであるから、原告が、被告の交渉の際の言動により威圧感や不安感を覚えたことが認められるにとどまる。

 また、上記陳述書には、原告が、被告の上記(1)の行為によって佐藤の鹿島建設に対する請求を断念した旨の記載がある。

しかし、原告は弁護士であり、原告に対する上記のような被告の行為があったとしても、

依頼者である佐藤のための法律事務の遂行を容易く断念することは、弁護士としての職務の放棄であるとの誹りを受けかねないのであるから、原告がそのようなことをしたとは思われず、佐藤本人が鹿島建設に対する請求をしないことにしたにすぎないことがうかがわれるから、上記記載をそのまま採用することはできない。

もっとも、

上記陳述書によれば、原告は、交渉の後に被告が暴力団の組長であることを知り、

不安感を強めるとともに、佐藤に危害が加えられるおそれがある事を懸念し、

鹿島建設に対する請求を手控えざるを得なかったことが認められる。

(3)  以上によれば、原告は、被告の上記行為により、本件法律事務の遂行をするに当たって、自己の生命や身体に対する不安感を覚え、また、佐藤に対する危害が加えられることをも懸念しなければならない状況となり、そのためこの点において、被告は、社会通念上許される限度を超えて、違法に原告の弁護士業務を妨害したものであるということができる。

3 原告に生じた損害

被告による上記2の不法行為の具体的態様や、原告が受けた影響の程度等の一切の事情を総合すれば、被告の不法行為により原告の被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は、

10万円と認めるのが相当である。

4 結論

以上によれば、原告は、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として10万円及びこれに対する不法行為の日である平成21422日から支払済みまで民法所定の年5分割合による遅延損害金の支払いを求めることができる。

よって、原告の請求は、上記の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

 

東京地方裁判所民事32

               裁判官 白井幸夫